【競技規則の精神】7月13日(土)横浜F・マリノス対浦和レッズ 58分の横浜F/マリノスの得点

この試合、浦和ゴールにボールが入ったが、最後にボールに触れた選手が確認できず、試合の再開までに必要以上の時間がかかった。。

 

 

浦和ゴールにボールが入ったという事実が大前提にあります。

 

ただ、どのような形で、誰が最後にボールに触れたのかを確認することが主審・副審2にとって非常に難しい状況でした。なぜならば、浦和の選手がゴールに戻りながらプレーし、横浜FMの選手がゴールに詰めており、二人が重なりあって動いている中、腰から胸の高さの低くて速いボールでしたので、副審2の位置からは重なりあって背中越しに見ることになり、主審の位置からは他の選手に視野を塞がれ、明らかな得点者(浦和の選手のオウンゴール、もしくは横浜FM選手の胸での得点)を限定することはできないように思います。さらに、横浜FMの選手はオフサイドポジションにおり、ボールに触れていたならばオフサイドとして得点を認めてはいけない場面だと思います。

主審としては、副審2から「横浜FMの選手はオフサイドポジションにいる。ラストタッチは分らない。オウンゴールであればオフサイドでない。横浜FMの選手がラストタッチならばオフサイド」という情報をコミュニケーションシステムを通して得ていたと思われます。しかし、主審は確信が持てないので、他の副審1と第4の審判員に尋ねましたが、事実の確証は得られませんでした。そこで、主審は得点を決定しました。
このように疑義があるならば、主審は副審2と直接会話をとった方が良かったかもしれませんが、それ以上の情報は得られないと思うので、主審が最終判断をすべきであり、通常の対応だと考えます。

ところが、映像を見ていた運営側が得点者を横浜FMの選手とアナウンスし、第4の審判員、副審1も運営側からの同様の情報を得て、それを主審に伝えたと思われます。主審は一旦、「それならばオフサイドですね」ということで、キックオフの再開をとりやめ、オフサイドのシグナルを示しました。でも、自分たち審判が見た事実ではなく、外部からの情報を取り入れてはいけないことに気づき、判定上では間違っているかもしれませんが、最初に自分達が判断したまま、主審の決定は最終であるという競技規則に則り、浦和のキックオフで再開するという決断をしました。
もちろん、記録を担当する運営側のミスでもありません。事実と判定が異なったことは今後の主審のポジションや動きについて課題が残されたとは思います。

今回は非常に稀なケースだと思います。やはり「プレーに関する事実についての主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終である。主審およびその他すべての審判員の決定は、つねにリスペクトされなければならない」という競技規則の条文の重さ、歴史の偉大さを改めて考えさせられました。同時に、審判も責任をもって勝敗の責任を感じながらやっていますが、どうしても判断できない中で白黒を決断しないといけない場面が出てきます。映像を見れば正しい判定になったかもしれませんが、現状では審判団が自らの判断を貫きサッカー競技の精神を守ったともいえますので、彼らに大きな拍手を送りたい気持ちになります。人間がやるプレーを人間が判断し、判定するからこそ、人間味がでて、リスペクトの精神が育まれ、スポーツで人間が成長すると信じたい。